サワディーカップ。タイ在住16年の「たきんにょ」です。
今日はタイ人の文化や気質を理解しつつ、一緒にうまく仕事をして行くコツと言うか、私が常に心掛けている事を、お話してみたいと思います。
日本人がタイ人を悪く思いがちな5つの例
タイ人と働いた事がある日本人の中には、こんな思いを持った方も少なからずいるかと思います。
①「すぐに転職してしまう」
②「時間にルーズ」
③「指示に対して、できる・大丈夫と言いながら、実は何もできてない」
④「言い訳の達人」
⑤「都合の悪い事は言わずに隠す」
私も昔は、何度かそんな思いをした事があり、悩んだ時期も多々ありました。でも、タイ人を見下したり、責めたりすると言うのは、少し違うと思います。一つずつ、私の見解をご説明して行きます。
①タイ人は「すぐに転職してしまう」への見解
給与の高い会社に転職するとか、稼業を手伝うとか、最悪のケースは体調を崩して休むと言ったっきり来なくなるとか。まぁ、色々なケースで辞めて行くタイ人がいます。但し、その原因は、もしかすると、雇っている会社や上司にも何か原因があるのかもしれません。
タイ人は、確かにジョブホッピングで給与を上げて行くとの一面もあるかもしれませんが、実際には、会社の居心地を重視する傾向があると考えます。家族的な雰囲気を好み、上司に対しては、長男もしくはお父さんのように頼れる人物を求める傾向があります。また、同僚に対しても、兄弟姉妹や友達のような関係を求めたりする傾向があります。
また、上司である日本人は、ビジネスの方向性を示す事が重要であり、また、各スタッフのキャリアパス(職位や職務の成長の道筋)を明確化する事が求められます。これが非常に難しいところなのですが。私が2004年にタイで働き始め、マネージャーとして右も左も分からなかった頃、部下のスタッフから「あなたのビジネスのダイレクションが理解できない」「自分のキャリアパスが見えない」などと言われ、どうしたもんかとよく悩んだものです。
一方、タイ人同士の同僚に対してですが、昨日までいつも一緒にいて仲良くしてた二人が、今日から全くの無視。なんて場面にも出会いました。ちょっとした感情でそうなったようですが、タイ人はプライドも高く、頑固な面もあるので、修復しようにも修復できず、仕事にも影響が出て来たりしました。結局は一人を他の部署に配置換えしました。まるで幼稚園レベルの話ですが、最近はそんなところも、タイ人は人間味があって良いかもと思ったりしてます。
尚、一度辞めると言い出したら、引き留めても無駄です。仕事上のキーマンであり、いなくなると困るとの事があるかもしれませんが、まぁ、人が変わってもなんとかなるものです。冷たい考えと思われるかもしれませんが、説得して引き留めても、またいずれ辞めると言い出しますし、結局はお互いのためになりません。この会社での経験を活かし、次の会社でも卒業生として活躍してね、と送り出してあげる事です。いずれ成長して戻って来るかもしれません。
それと、注意すべき事としては、タイ人はほぼ引継ぎしないと言う事です。辞めるとなったら、すぐに会社に来なくなります。ですので、私が常に心掛けている事は、タイ人の仕事に属人的なブラックボックスを作らないと言う事です。仕事のフローを書類に残したり、手伝いと称して、必ず二人以上が仕事の仕方を知っていたりするように心掛けています。もちろん、日本人自身がスタッフは今、何の仕事をしているのかを、常に見て確認しておく事も重要です。そうすればブラックボックスは防げます。
②タイ人は「時間にルーズ」への見解
これは文化の違いです。日本では5分前行動が当たり前との教育をされていたかと思いますが、タイでは「約束の時間より前に行くのは失礼」との文化です。訪問先では前の会議が長引いているかもしれないし、そこに時間前に行って急かすのは失礼にあたるとの考えによるものです。よって、約束時間の10分後くらいに行ったりします。
但し、日系企業で働いている以上は、日本の文化を教え、理解してもらい、日本の文化に合わせるべきところは合わせてもらうべきと考えます。時は金なり、Time is money、ちゃんと話をすればタイ人も理解し実行します。
タイ・日本でそれぞれ良い文化があるので、お互いを尊重し合って、より良い方向に持って行くよう私はいつも心掛けています。
③タイ人は「指示に対して、できる・大丈夫と言いながら、実は何もできてない」への見解
これは学校教育の違いです。タイ人は目上の人に質問すると言う事をほぼしません。タイの学校教育の場では、先生に質問をするのは失礼との考えがあります。先生は一方的に授業でしゃべって、黒板に書くだけです。何か質問があれば、家に帰って親に聞くか、塾に通ってその時に聞くかです。尚、余談ですが、学校の先生は給与が安く、その塾が先生と提携していて、キックバックされているなんて事があるとかないとか。。。
と言う訳で、子供の頃からの教育にて、目上の人には質問せず、取り敢えずはその場を取り繕うために、できる・大丈夫と返事をしちゃったりするのです。
それを未然に防ぐために私が心掛けている事は、まず何か指示をする際には、手書きで汚くても図とかを書いて、分かりやすく説明します。そして説明後に、ちゃんと理解しているか要点を質問して確認します。その上で、手書きメモも渡します。大抵の場合はちゃんとやってくれますが、もし結果が出て来ないような場合、こちらから分からない事がないか聞いてあげて、必要に応じてまた手書きで説明して、と言った事を実行してます。そうすればちゃんとタイ人もできるようになります。そして成長もします。
④タイ人は「言い訳の達人」への見解
タイ人は人一倍プライドが高いです。特に人前で恥をかかされる事を嫌います。人前で怒られると言うのは、侮辱と捕えたりもします。ですので、人前だと自分の過ちを認めずに言い訳をすると言う事になります。
昔、ある日系企業で、日本人上司から人前で大声で叱られたタイ人スタッフが、数日後にその日本人の帰りがけの車を待ち伏せし、発砲したとの事件もありました。幸い、その日本人には怪我はありませんでしたが、すぐに日本に帰任となりました。タイ人を人前で怒ると言うのは、冗談じゃなく命懸けになります。
私がいつも心掛けている事は、何かタイ人スタッフに注意をするなら、会議室に呼んで、個別に話をすると言う事です。そして怒ってはいけません。今どういう状況で困っているのか、何か悪かった点はなかったか、これからどうするかなど、静かに諭す感じで話をします。タイ人は誉めて伸ばすのが定石となります。当然、日本人側は我慢も必要かもしれませんが、タイ人だって悪かったと思う事は素直に反省します。タイは微笑みの国ですが、微笑みにも色々な種類があります。反省して照れ隠しの微笑みもあります。やはりお互いの文化を理解し、尊重し合う事が重要です。
⑤タイ人は「都合の悪い事は言わずに隠す」への見解
これも先程の③と似ています。目上の人には、気分を悪くさせたくない。悪い話をするのは失礼だ。との考えによります。昔ある日系企業で、日本人社長がタイのテレビで謝罪会見する程の事件があったのですが、その社長からあとで直接その経緯を聞いた話です。初期の段階で報告があれば、普通に火消しができるような内容だったらしいのですが、そこは先程の、悪い話をするのは目上の人に失礼との考えから報告されず、もうどうしようもない状況になって発覚し謝罪会見するまでの大騒ぎに至ったとの事です。そのスタッフには、何故報告しなかったのかを聞き、そこで前述のタイの文化を知り、そしてその社長は、全社員を集めて、「今後はとにかく悪い話は率先して報告して欲しい。絶対に怒らないから」とひたすらお願いしまくったそうです。もちろん、その事件に関与したスタッフも誰一人クビにする事もなく、その後も継続して働いていました。
私も、この時の社長と同じように、「悪い話はまず早く報告を」との事でタイ人スタッフに事ある毎に言っています。また、日系企業で働くのが初めてのスタッフが入社した際には、外部の「報連相セミナー」をまず受講させて、日本文化の教育をします。お陰様で、今のところは謝罪会見を開くような目には合わずに済んでいます。(^-^)v
タイと日本は、そもそもの文化が違います。日本の常識は世界の非常識であったりもします。まずはお互いの文化を理解し合い、良いところを融合させて、より良い関係を築いて行けるように、今後もそれを心掛けながら、タイで過ごしたいと思います。
本日も読んでいただき、ありがとうございました。コープクンカップ。