サワディーカップ。タイ在住16年の「たきんにょ」です。
今日は、日本人が仕事で当たり前にやっている事が、タイ人にはなかなか真似できないと言うお話をしてみようと思います。
日本人の当たり前の指示が、タイ人に誤解を招いた事例
ちょっと前の話になりますが、2011年にタイで発生した大洪水、ニュースなどで見て、覚えている方も多くいるかと思います。その被害を受けたある日系企業の工場で、なんとか被害から復興して工場を再稼働した後の出来事です。日本人上司は、タイ人スタッフを呼んで、ある宿題を出しました。日本では馴染みのある「BCP」の策定です。
「BCP」とは、英語の「Business Continuity Planning」の略で、「事業継続計画」の事です。
「事業継続計画」とは
引用元:ウィキペディア(Wikipedia)
災害などの緊急事態が発生したときに、企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画
すると、その後に何が起きたか。。。
なんと、多くの従業員がストライキして、工場が稼働できなくなってしまったそうです!! その従業員達の言い分としては、
「洪水被害はもう収まった。また来るなんて事は考えたくない。もしまた来たら、その時に考えれば良い。」
「会社の経営状況が厳しいので、我々をクビにするために、わざと嫌がらせの宿題を出した。我々は屈しない。」
との主張だったようです。
その後、そうではないと一生懸命に説明して、なんとかストライキ騒ぎを納めたそうです。
なぜ誤解が生じたのか。地理的環境からの考察。
なぜこのような事が起きたのか? それはタイと日本の地理的環境の違いから来るものなのかも、と考えられます。
タイは年中温暖な気候であり、米・果物・野菜など農作物が良く育ち、また、鳥豚などの畜産、エビの養殖なども盛んで、食べ物が豊富にあります。また、タイでは地震が基本的にはありません。(中国に近い北部の山間地域でたまに起きたりはしますが、非常に稀です。)
一方の日本はと言うと、四季があり、地震も頻繁に起きます。ですので、日本人にはタイ人と違って、先を読む能力や、危機意識と言うものが、物心ついた時から身に付いています。
例えば、もうすぐ夏だから事前にエアコンを掃除しておこうかとか、そろそろ寒くなって来そうだからコタツを出そうかとか、近い将来に何が来るかを予想し、準備すると言う事を自然におこなっています。
また地震の面では、もし地震が来たら、火元のガスを止めたりとか、あとで窓が開かなくなると困るので窓を開けたりとか、上から物が落ちて来るかもしれないので机の下に潜ったりとか、一瞬の内に身体が動くと思います。
そう言った日本人が当たり前にできる事が、実はタイ人にはできなかったりします。もうこれは生まれた国の地理的環境の違いの話ですので、どうにもなりません。ですので、日本の常識が、タイでは理解されなかったりするのです。
日本人の良い能力とタイ人の良い能力
先の事を予想しプランやスケージュールを立てる能力や、危機意識を持って行動する能力は、日本人が持っている、とても良い能力だと思います。その良い能力は、特にタイでは生かせる能力であり、日本人がタイで働く価値が生まれているのだと思います。
もちろん、タイ人にはタイ人の良いところがあります。例えば、前述の大洪水の時、確かに被害により大変な生活を送る事になりました。しかし、そんな中でも、ペットボトルでイカダを使って遊んでいる大人がいたりしました。いくら悪い環境の中でも、何か楽しみを見つけて、おおらかに暮らすと言う能力では、タイ人は天才的だと思います。
そんな、お互いの違いや良い面を理解しながら、より良い関係を築いて行けるように、これからもタイで過ごして行ければと思います。
本日も読んでいただき、ありがとうございました。コープクンカップ。