タイで外国人が会社設立してビジネスをするのは、実は規制があって厳しい。タイで会社設立したお話

タイで仕事
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サワディーカップ。タイ在住16年の「たきんにょ」です。

今日は、タイで会社設立をした時の話を、なるべくやさしく噛み砕いて書いてみようと思います。今回はちょっと堅いネタですみません。興味ある方だけ、お付き合い下さい。

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まず最初の障壁は「外国人事業法」

タイで外国人が会社を設立してビジネスをしたいと思った時、最初に立ちふさがるのが「外国人事業法」です。
この法律では、「外国人はやっちゃダメよ」と言う事業がリストで列記されています。3種類のカテゴリーで合計43業種について、外国人による参入を規制しています。
※詳しい業種リストはこちらのJetroホームページ情報でご覧下さい。
要は、タイ人が既にメインでやっているビジネスに、外国人は許可なく入って来ないでね、と言う法律です。
尚、ここで言う「外国人」とは、外国人もしくは外国企業の名義の資本が50%以上入っている会社の事です。

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外国人事業法の規制をクリアする方法

では、その厄介な外国人事業法をクリアして、タイでビジネスをするにはどうすれば良いか、それにはいくつかの方法があります。

①タイ人名義の資本が51%以上の会社でビジネスをする

タイ人名義の資本が51%以上あれば、それは外国人の企業とは見なされず、タイ企業であるので、外国人事業法からは除外され、どの業種のビジネスをやっても良いとの事になります。
しかし注意すべきは、タイ人名義を51%としながらも、どうやって外国人がイニシアティブを取って事業ができるかと言うところです。当初は名義貸しだけで経営には口は出さないよと言っていたタイ人でも、時が経つにつれ口を出して来たりして、外国人側が思うようには意思決定ができなかったりすると言うリスクもあります。ですので、資本51%とするためのタイ人パートナー探しは、慎重に行う必要があります。
尚、銀行系などの投資会社や会計事務所などを利用して、タイ資本51%の会社を作ると言う方法もあります。外国人が49%、投資会社(タイ名義)も49%、会計事務所など(タイ名義)が2%と言った構成での会社設立をすれば、タイ名義会社の出来上がりです。尚、投資会社には、事前に経営には口を出さないとの契約を交わしておき、その代わり投資額の数%を毎年、手数料のような形で支払うと言うのが一般的なようです。
※ご注意:各投資会社により色々と条件もあると思うので、利用される場合には、個別に各投資会社にご確認下さい。

②資本金が1億バーツ以上の会社でビジネスをする

資本金を1億バーツ以上とすると、外国人100%名義であっても、一部のビジネスができる可能性があります。規制業種リストの第3表の中にある、仲介代理業と小売業です。但し、商務省の承認であるビジネスライセンスを申請して取得する必要があります。
※ご注意:やりたい業種により色々と条件も違って来ると思うので、必ず事前にコンサル会社などでご相談・ご確認下さい。
しかし、1億バーツとの大金となると、小さく事業を始めようとする中小企業や個人事業主には現実的ではなさそうですね。

③BOI(投資委員会)の認可を受けてビジネスをする

タイには「BOI(Board of Investment、投資委員会)」と言う政府機関があり、タイ国として是非、外国人に投資してもらいたいビジネスを奨励する制度があります。このBOIの認可を得られると、規制されている色々な事が免除されたり、税制面での優遇があったり、外国人のVISA取得が優遇されたりと、色々な恩典がもらえます。
資本金の話で言うと、外国人100%の会社での事業も可能となります。
但し、タイでやりたいと思う事業がBOIの奨励事業と合致していないと、認可は下りません。尚、BOIの奨励事業はしばしば変更となります。最近のトレンドとしては、医療関連製品と電気自動車と遠い地方での工場設立と言ったあたりがホットです。
タイで会社を設立してビジネスをしたいと思う場合、まずはBOI奨励事業の中で、やりたいビジネスがあるのかを確認するのが良いかと思います。
※ご注意:BOI奨励はしばしば変わります。やりたい業種により色々と条件も違って来ると思うので、必ず事前にコンサル会社などでご相談・ご確認下さい。
尚、もしBOI奨励事業に合致していなければ、上記①②での検討になると思います。

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外国人は土地所有不可の規制あり

それからタイで土地を買って工場を建てたいと思った時、外国人は土地所有が基本的には不可の為、できません。
個人が土地付き一戸建ての家を買おうと思っても、やはり外国人名義ではできません。(コンドミニアムなら一部条件がありますが、外国人名義での購入も可能です。)
しかし、以下2つの方法なら、外国人でも土地が買えます。

①工業団地内で認可があれば買えます

工業団地公団(通称:IEAT)の認可を得て、工業団地内で工場を建てて事業を行う場合には、外国人でも土地が買えます。商取引が条件の一つでもあるので、住居用の土地としては買えませんのでご注意を。

②BOIからの認可があれば買えます

BOIの認可を得れば、外国人でも土地が買えます。場所は工業団地でなくても可能です。但し、商取引が条件の一つでもあるので、こちらも住居用の土地としては買えませんのでご注意を。

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実際に会社設立した時のお話

さて、私がタイで会社設立した時の話ですが、日本本社の意向として、日本資本100%で土地も購入との指示がありました。色々と上記の規制を考慮しながら調査の結果、最終的には、BOI奨励事業の中に、ちょうど良くマッチしたものがあったので、BOIに申請しての会社設立を実施しました。

①BOIへの申請

日本資本100%で会社登記したい訳ですから、まず最初にBOIへの申請、認可が必要となります。そしてその後に会社登記となります。
通常はBOIに申請してから認可まで、最短でも3ヶ月、長いと6ヶ月くらい掛かると言われていました。しかし、実施には1ヶ月強で認可が下りてしまいました。と言うのも、実はちょっとしたコネがありまして。。。
私の知り合いのタイ人が偶然、その頃にBOIに勤めてまして、一言電話で、
申請したので何かあったらよろしくね
とお願いしておいたのです。
まず申請から約1ヶ月弱で、BOIから内容確認の面談をするとの事で、お呼び出しがありました。そのむね先程の知り合いに伝えたところ、
面接官がいつも面倒見てる後輩だから大丈夫。言っておいたから。
との事。実際の面談では、こちらの事業説明をしたくらいで、大した質問もなく、サラっと終わってしまいました。
そして数日後、また知り合いから、
申請書、今、係長の机の上で承認待ち。一番下にあったから、早く済むように一番上に置き直しといたよ。
との連絡が。そしてまた3日後くらいに
今、課長の机の上。また同じように一番上にしておいた。
との連絡。と言う訳で結局、面談から1週間ちょっとで認可が下りてしまいました。
事務手続きをお願いしていたコンサル会社よりも、前代未聞の早さだったらしく、
たきんにょさん、なんか魔法かけました?
とビックリされてしまいました。タイでは、やはりコネって強力だなぁ、とつくづく思った出来事でした。
ちなみにその知り合いには、無事会社設立後に一緒にランチして、私の自腹でご馳走しただけです。決して裏金とかは動いてないので、誤解なきよう。。。

②会社登記、その他の登記もろもろ

さぁて、BOIの認可がもらえたら、あとは楽なもんです。政府からの印籠があるようなものですから。

BOI認可証書の表紙サンプル

タイの国章であるガルーダのマークが、印籠っぽさを醸し出してると感じるのは私だけ?
と言う訳で、あとはコンサル会社に、たんたんと次の手続きを進めてもらい、会社登記、税務登記、外国事業ライセンス認可などなど、つつがなく完了しました。と言う事で、無事に会社設立し、事業スタートです。

③土地の購入手続き

会社設立までは順調でしたが、その後、ちょっとだけひと悶着あったのが土地購入です。
土地の売り手との契約の為に、その売り手の人と一緒に土地局に行って、土地登記移転の手続きをする事になったのですが、前述の通り、本来、外国人は土地を買えません。しかし、BOIよりは土地購入許可をもらってます。そこで勃発したのが省庁間の軋轢。。。土地局は国土省の傘下であり、BOIは商務省の傘下です。土地局側の言い分は、
うちは国土省であり、商務省がなんと言おうと、外国人への土地販売は法律で認められてない!
と来ました。
おいおい、この土壇場で、勘弁してよ~。。。
ってな状況でしたが、同行していた弁護士が何本かどこかに電話し、何か魔法をかけたのか、30分後くらいには土地局の担当者は手の平を返したように、サクッと移転手続きしてくれました。無事に済んで良かった良かった。
そしてこの顛末でも、魔法の内容は分かりませんが、タイでは、やはりコネって強力だなぁ、とつくづく思った出来事でした。タイで強力なコネを作るのは、なかなか外国人には難しいですけど、あると本当に心強いですね。

と言う訳で、今日は少々堅い内容となってしまいました。すみません。

本日も読んでいただき、ありがとうございました。コープクンカップ。

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